チワックスがなりやすい病気は?対策と予防法を解説
「うちの子には、一日でも長く健康でいてほしい…」
チワワの愛らしい瞳とダックスフンドの短いあんよが魅力的なチワックス。その可愛らしい姿を見ていると、自然とそう願ってしまいますよね。私自身もチワックスと暮らす飼い主の一人として、その気持ちは痛いほどよく分かります。
チワックスはミックス犬の中でも特に人気ですが、その特別な体のつくりから、特有の病気にかかりやすいという側面も持っています。しかし、心配しすぎる必要はありません。飼い主さんが正しい知識を持ち、日々の生活で少しだけ気をつけてあげることで、多くの病気は予防したり、早期発見したりすることができるのです。
この記事では、チワックスがなりやすい代表的な病気とその具体的な予防・対策法について、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。愛するチワックスとの毎日を、もっと長く、もっと幸せなものにするために、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもチワックスってどんな犬?特徴と病気のリスク
チワックスの健康について知る前に、まずは彼らがどんな犬なのか、その特徴を理解しておきましょう。チワックスは、ご存知の通りチワワとミニチュア・ダックスフンドのミックス犬です。両親から受け継いだ特徴が、その魅力であり、同時に健康面で注意すべき点にも繋がっています。
チワワとダックスフンドから受け継いだ体格
チワックスの多くは、チワワの小さな頭とアップルヘッド、そしてダックスフンドの胴長短足な体型を受け継ぎます。この「胴長短足」という体型は、見た目はとてもキュートですが、実は背骨や腰に負担がかかりやすいという弱点も抱えています。後ほど詳しく解説する「椎間板ヘルニア」は、まさにこの体型が原因で発症しやすい病気の代表例です。
警戒心が強く繊細な性格
性格は、チワワの忠実で勇敢な面と、ダックスフンドの活発でフレンドリーな面を併せ持つことが多いです。しかし、一方で警戒心が強く繊細な一面もあり、ストレスを感じやすい傾向にあります。過度なストレスは免疫力の低下を招き、さまざまな病気の引き金になることもあるため、心のケアも非常に重要です。
【要注意】チワックスが特になりやすい病気4選と対策
ここからは、チワックスが特にかかりやすいとされる4つの病気について、症状や原因、そして今日からできる対策を具体的に解説していきます。「うちの子、こんな仕草するかも…」と思い当たることがないか、チェックしながら読み進めてみてください。
1. 膝蓋骨脱臼(パテラ):小型犬の宿命的な関節トラブル
【どんな病気?】
「パテラ」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。これは、後ろ足の膝にあるお皿のような骨(膝蓋骨)が、正常な位置からずれてしまう病気です。チワワやダックスフンドをはじめ、多くの小型犬に見られます。
【主な症状】
・歩いている時に、急に後ろ足を上げてケンケンする(スキップするような歩き方)
・足を触られるのを嫌がる
・歩き方がぎこちない
【原因と対策】
原因は、生まれつき関節の溝が浅いといった遺伝的な要因が大きいですが、生活環境も大きく影響します。特にフローリングなどの滑りやすい床は、足腰に余計な負担をかけてしまうため非常に危険です。また、肥満も膝への負担を増大させる大きな原因となります。
<今日からできる対策>
・床の改善:フローリングにはカーペットや滑り止めマットを敷きましょう。ペット用の滑り止めワックスも効果的です。
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・体重管理:肥満は関節の大敵です。適正体重をキープできるよう、食事の量や内容を見直しましょう。
・高い所からのジャンプ禁止:ソファやベッドには、ペット用のステップを設置して、飛び降りを防ぎましょう。
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関節の健康維持をサポートするグルコサミンやコンドロイチン配合のサプリメントも市販されています。かかりつけの獣医さんに相談しながら、上手に取り入れてみるのも良いでしょう。
2. 椎間板ヘルニア:胴長短足なチワックスの要注意疾患
【どんな病気?】
背骨と背骨の間でクッションの役割を果たしている「椎間板」という組織が、変性して飛び出してしまう病気です。飛び出した椎間板が神経を圧迫することで、痛みや麻痺を引き起こします。胴長のダックスフンドに非常に多い病気で、その血を引くチワックスも最大の注意が必要です。
【主な症状】
・背中を丸めてじっとしている
・抱き上げようとすると「キャン!」と鳴いて嫌がる
・歩くのを嫌がる、足を引きずる
・段差の上り下りをためらう
【原因と対策】
最大の原因は、やはり胴長短足という体型にあります。背骨にかかる負担が大きいため、激しい運動やジャンプ、肥満などが引き金となって発症します。一度発症すると完治が難しく、重症化すると歩行困難になることもある恐ろしい病気です。
<今日からできる対策>
・背骨に負担をかけない生活:ジャンプや急な方向転換、階段の駆け上がりなどは絶対に避けましょう。
・正しい抱き方:片手で抱き上げたり、脇だけを掴んだりするのはNGです。必ず背骨が地面と水平になるように、両手でしっかりとお尻と胸を支えてあげましょう。
・適度な運動:運動不足は筋力の低下を招き、逆に関節を支える力が弱まります。背骨に負担の少ない、平坦な道でのんびりお散歩するのがおすすめです。
3. 気管虚脱:興奮時に出る「ガーガー」音は危険信号
【どんな病気?】
空気の通り道である「気管」が、本来の筒状を保てずに潰れてしまい、呼吸がしづらくなる病気です。チワワなどの小型犬に多く、遺伝的な要因や肥満、加齢が関係していると言われています。
【主な症状】
・興奮した時や運動後に「ガーガー」「ゲーゲー」とアヒルの鳴き声のような乾いた咳をする
・呼吸が荒くなる、ゼーゼー言う
・暑さに弱くなる
【原因と対策】
根本的な原因は解明されていませんが、首への負担が症状を悪化させることが知られています。お散歩の時にぐいぐい引っ張る癖がある子は特に注意が必要です。
<今日からできる対策>
・首輪からハーネス(胴輪)へ:首に直接負担がかかる首輪は避け、体全体で支えるハーネスを使用しましょう。これはチワックスの飼い主さんにとって必須の対策と言えます。
・興奮させすぎない:過度に興奮させると咳が出やすくなります。落ち着いた環境を心がけましょう。
・肥満防止と温度管理:肥満になると気管の周りの脂肪が気道を圧迫します。また、高温多湿の環境も呼吸器に負担をかけるため、夏場の室温管理は徹底しましょう。
気管への負担が少ないハーネスは、愛犬の命を守る大切なアイテムです。さまざまな種類がありますが、クッション性が高く、体にフィットするものを選んであげると良いでしょう。
4. 水頭症:チワワの血を引く子の先天性疾患
【どんな病気?】
脳の中にある「脳室」という空間に、脳脊髄液という液体が過剰に溜まってしまい、脳を圧迫する病気です。特にチワワは先天的にこの病気を発症しやすく、チワックスもそのリスクを受け継いでいます。
【主な症状】
・月齢の割に頭がドーム状に大きい
・なんとなく元気がない、ぼーっとしていることが多い
・うまく歩けない、同じ場所をぐるぐる回る
・しつけが入りにくい
【原因と対策】
ほとんどが生まれつきの奇形による先天性のもので、残念ながら確実な予防法はありません。だからこそ、飼い主さんがいち早く異変に気づいてあげることが何よりも重要になります。
<飼い主さんにできること>
・日々の行動をよく観察する:お迎えした子犬の様子に少しでも「あれ?」と思うことがあれば、すぐに動物病院に相談しましょう。
・頭部への衝撃を避ける:頭をぶつけたり、強く揺さぶったりすることは絶対に避けてください。
病気を防ぎ長生きを目指す!今日からできる日常ケア
特定の病気だけでなく、チワックスが毎日を健康に過ごすためには、日々の基本的なケアが土台となります。ここでは、愛犬の健康寿命を延ばすために、飼い主さんが意識すべき5つのポイントをご紹介します。
1. 食事管理:健康な体は毎日のごはんで作られる
チワックスの食事は、ただお腹を満たすだけではありません。関節をサポートしたり、適正体重を維持したりする重要な役割があります。フードを選ぶ際は、以下の点をチェックしてみてください。
・関節ケア成分:グルコサミン、コンドロイチンなどが配合されているもの。
・良質なタンパク質:筋肉を維持するために、質の良い動物性タンパク質が主原料のもの。
・小粒で食べやすい形状:口が小さいチワックスでも食べやすいサイズ感。
どんなフードが良いか迷ったら、かかりつけの獣医さんに相談するのが一番です。最近では、チワックスのような犬種に特化したプレミアムフードも人気です。愛犬の年齢や体調に合った、最適なフードを選んであげましょう。
2. 体重管理:肥満は万病のもと!
「ちょっとくらいぽっちゃりしている方が可愛い」と思うかもしれませんが、肥満は関節疾患や心臓病、糖尿病など、あらゆる病気のリスクを高めます。チワックスの理想体重は3kg前後が目安ですが、個体差があります。愛犬の体を触って、肋骨がうっすらと感じられるくらいが理想的な体型です。
3. 運動と遊び:心と体の健康を保つ
適度な運動は、筋力維持やストレス解消に不可欠です。ただし、前述の通り、チワックスに激しい運動は禁物。1日2回、15分程度のんびりお散歩するだけで十分です。雨の日などは、室内で知育トイを使ったり、「持ってきて」遊びをしたりして、頭と体を適度に動かしてあげましょう。
4. 生活環境の見直し:家の中の危険を減らす
家の中は愛犬にとって安全な場所であるべきです。パテラやヘルニアの予防のためにも、滑りやすい床や段差はできるだけなくしましょう。ペット用マットやステップの設置は、初期投資はかかりますが、将来の治療費を考えれば決して高い買い物ではありません。
5. 定期的な健康診断:病気の早期発見が鍵
言葉を話せない愛犬の健康を守るためには、定期的な健康診断が最も効果的です。若いうちは年に1回、7歳を過ぎたシニア期からは半年に1回の健康診断を習慣にしましょう。病気は早期発見・早期治療が鉄則です。
まとめ:正しい知識と愛情で、チワックスの未来を守ろう
今回は、チワックスがなりやすい病気と、その予防・対策について詳しく解説しました。
・4大疾患:膝蓋骨脱臼、椎間板ヘルニア、気管虚脱、水頭症に注意
・生活習慣:「床」「体重」「ジャンプ」「首輪」に気をつける
・基本ケア:食事、運動、環境整備、健康診断が長生きの秘訣
たくさんの注意点を挙げましたが、最も大切なのは、飼い主さんが毎日愛犬のことを見て、触って、コミュニケーションを取ることです。「いつもと違うな」という小さな変化に気づけるのは、世界であなたしかいません。
正しい知識を持ち、日々の生活の中で少しだけ工夫してあげること。それが、愛するチワックスを病気のリスクから守り、幸せな犬生へと導く一番の近道です。この記事が、あなたと愛犬の健やかな毎日のための一助となれば幸いです。
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